米プロフットボールリーグ（NFL）の元選手らが現役時代に起こした脳しんとうをめぐり、NFLが危険性を認識していながら選手に対する注意義務を怠ったとして損害賠償を求める訴訟を起こしている。 引退後にテレビや映画で俳優としても活躍したアレックス・カラスさん（76）もこのほど原告団に加わった。
カラスさんをはじめとする元選手70人が原告となった訴訟は、12日にフィラデルフィアの連邦地裁に起こされた。脳しんとうをめぐってNFLが提訴された裁判はこれで12件目で、元選手約700人を代表して争う。
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原告側は裁判の中で、脳しんとうを起こした直後に試合を続ければ脳に恒久的な損傷を負う恐れがあるにもかかわらず、NFLは選手に対する注意義務を怠り、脳しんとうのリスクに関する証拠を長年の間隠していたと主張。
頭部に損傷を負った選手は神経症状に悩まされていると訴え、損害賠償や治療費の支払いを求めている。
カラスさんは1958年にNFLチーム「デトロイト・ライオンズ」に入団し、ディフェンスラインとして活躍。70年のシーズン後に引退し、70年代から80年代にかけて映画やテレビに出演した。
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訴状によると、NFLの現役時代に繰り返し頭部に衝撃を受けて何度も脳しんとうを起こし、その時の損傷に起因するさまざまな神経症状に見舞われているという。
妻のスーザン・クラークさんによれば、カラスさんは現在、日常的に目まいを訴え、認知症を発症して車の運転や料理、釣りといった日常の行動ができなくなった。
「フットボールがもっと安全になり、選手と家族が健康で幸福な引退生活を送れるようになることを夫は望んでいる」とクラークさんは訴える。
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NFL広報は訴訟について、「当リーグでは選手を守り、脳しんとうの治療と管理について科学的、医学的理解を深めるための行動を取ってきた」と反論。長年にわたって選手の安全を優先し、今後もそれは変わらないとした。
NFLは過去数年で、選手の試合中の行動について定めたルールの強化を図り、チームとは関係のない医療スタッフを待機させて選手の負傷を中立的な立場から診断するなどの対策を進めている。
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